公開履歴
カプセルを持っている女性

女性は更年期になるとどうしてもイライラしたり、急に泣きたくなったりと情緒的に不安定になることがあります。いつかは改善していくだろうと考えても、どうしてもうまくいかず心理的に追い詰められることも多いのです。このように更年期に起こる様々な症状を更年期障害といいます。これは加齢に伴って、女性ホルモンのバランスが悪くなることによって起こるのですが、適切な方法で改善していくと徐々に軽減させていくことができます。

更年期障害の主な症状

まず更年期というのは、閉経前後5年を指しています。この時期に起こるさまざまな症状のことを更年期障害と呼んでいます。運動器官系や消化器官系、精神神経系や血管運動神経系など様々なところに症状が起こるのが特徴で、運動器官系では肩こりや腰痛、関節痛が起きてきます。消化器官系は便秘や下痢を繰り返したり、急に食欲がなくなったりします。吐き気が起こることもあり、妊娠初期のようにむかむかとする状態になることも多いのです。

更年期障害で比較的多くの女性が感じるものに、血管運動神経系の症状であるのぼせやほてり、汗が出る、冷えや動悸、息切れがあります。のぼせやほてりの状態はホットフラッシュとも言い、何の前触れもなく、突然顔を中心にものすごくあつくなり、汗がだらだらと出てしまいます。しばらくするとスッと汗がひき急に寒気がやってくるので、衣服の着脱に気を配らなくてはなりません。そして場所を選ばず発汗するため制汗剤や汗用のシート、タオルなど汗対策のグッズも用意したほうが良いのです。

そして精神神経系は、頭痛やめまい、物忘れや耳鳴り、判断力の低下ややる気の喪失、不眠や不安感があります。片頭痛を持っている人の場合、その頭痛がなかなか更年期が原因であると考えることは少なく、頭痛がひどくなってしまったと感じることが多いのですが、実際は更年期障害が要因のことがあるので、あまりにも頭痛が長引く場合は一度婦人科を受診してみると良いでしょう。

耳鳴りもまた、多くの人が感じる症状で、いつでも耳に音が残るので気になってしまい、物事にも集中して取り組むことができなくなります。頭痛やめまい、耳鳴りというのは精神に関係ないのではないか、と感じますが、どれも自律神経に関係しているため、精神神経系の症状としてとらえられています。

精神的な症状が出ると、何をしても楽しくなく、逆に泣きたくなったり、急に怒りっぽくなったりします。月経前症候群の強い感じの症状が出て、不安でどうしようもないこともあります。ちょっとしたことでもイライラとしてしまうことが多く、家族を困らせてしまうことも起こりますし、うつ状態になることもあるので、引きこもりがちになり、表情も乏しくなってしまいます。

このほかに、皮膚分泌系として湿疹やドライマウス、ドライアイや皮膚や粘膜の乾燥が起きてきます。なんとなく口が乾く、目が乾燥していると感じた場合は更年期障害によることが多く、体全体を見ても汗をかいている割に、皮膚が乾燥しており、手などは乾燥する時期でなくてもカサカサとしていることが多いです。

生殖器や泌尿器系では、頻尿や尿漏れ、残尿感、月経異常や性器下垂感などが起こります。尿漏れも起こしやすいことで、自分では我慢している気がするのに、ふとした瞬間に出てしまったり、トイレまで我慢をしたのにトイレの便座を見た途端失禁してしまったりすることもあります。

これらのものはすべて代表的なものであり、個人差があるので、すべての人に出てくるわけではありませんし、その程度も異なるので一概には言えませんが、日本人の女性の場合、一番感じるのは肩こりで、2番目以降は疲れやすい、頭痛、のぼせと続いていきます。更年期障害かも、と気が付くのはやはり生理の変化なのですが、体はすでに更年期における不定愁訴を感じている状態であるので、できるだけ体の変化に気を配り、更年期の対策を行うようにしましょう。

更年期障害を起こる要因

更年期障害は、女性ホルモンであるエストロゲンが減ったり、加齢になったりする身体的要因と、仕事や家族関係などが影響している社会的要因、そして性格などが起因する心理的要因が複雑に重なりあって、関与しあい、症状が起こるので、一種のストレス性の疾患と言えます。

月経は、脳が卵巣に女性ホルモンを出すよう指示をし、卵巣はその指示を受け止めて女性ホルモンであるエストロゲンを出すことで起こります。これが、加齢などで卵巣の機能が低下してしまうと、脳がいくら女性ホルモンを出すように指示をしても卵巣は女性ホルモンを出すことができません。そうすると脳は混乱を起こし、自律神経も乱れてしまうのです。

脳が女性ホルモンを出すように指示をする場所は、視床下部と呼ばれる部分で、視床下部はいろいろなホルモンの分泌を管理しコントロールする働きがあり、しかも生命を維持するのに大切な呼吸や体温調節、精神活動、そして消化機能の調節という自律神経に関する部分もコントロールしています。そこで、脳は卵巣に具体的な指示を出しているのですが、卵巣は答えてくれないため、指示が届いていないのではと勘違いをし、普段の何倍も指示を出すので、イライラしたりめまいが起きたり、妙に発汗したりしてしまいます。これが身体的要因となります。

そして社会的要因は、更年期である45歳から55歳という年齢は、仕事においても責任のある立場になることが多い、子供が独立するなど家族構成に変化がある、親の介護が始まったなどのことが影響して起こります。いつもとは違った環境になり、しかも知らず知らずにストレスがかかることから、体は変調をきたし、いろいろなことが起きてしまいます。一生懸命頑張りすぎる人になりやすいのは、こういったことが関係しています。

心理的要因はもともとの自分の性格や生育が関係していることがあります。くよくよしてしまう性格であれば、ちょっとの体の変化にも驚き、ついいろいろと考えてしまいますが、こういったことが体にとっては負担になっているのです。自分自身も病気になったり、友人や知人など知っている人が病気になり亡くなったりするととたんに現れることもあります。

一度更年期の障害が起きてしまうと、それを元に戻すことはできません。身体的に卵巣の機能が低下している可能性もあり、無理に女性ホルモンを出しても改善することは少ないからです。女性ホルモンであるエストロゲンが欠乏してしまうとまず、月経に異常が起こり、月経周期が長くなったり短くなったりします。そのうちにホットフラッシュや異常な発汗が始まるので、この時点で、自律神経が乱れていることに気が付きます。自律神経が乱れてくると、しばらくして精神神経系に関係する鬱や不眠、不安感や倦怠感といったことが起こってくるのです。やがてエストロゲンの分泌がされなくなると、体の内臓部分に変化が生じ、泌尿生殖器が萎縮してしまったり、骨の密度が減少したりし、脂質異常症や高血圧、動脈硬化が徐々に進行してしまいます。

女性ホルモンの場合ある日突然ピタッと無くなるのではないので、更年期における障害は徐々に進行していくイメージであり、個人差があります。要因によっては、まったく感じずにすぎてしまった人もいれば、10年以上苦しむ人もいます。更年期における障害が起こる原因は卵巣の機能低下だけではないため、このようなことが起こるのです。